もふもふ本文用紙のススメ
皆さんは同人誌をつくるとき、本文用紙*1のことを気にする派ですか?あんまり気にしない派ですか?
私は気にする派です。本のサイズやページ数に対して厚さは適切か、絵や文字は読みにくくないか、持った時の重さはどうか、作品の雰囲気に合っているか……毎回全部ではありませんが、それなりにこだわって本文用紙を選んでいます。
というか、単純に本文用紙が好きなんです。性癖です。
すべすべしてたりもふもふしてたり、まっしろだったり少しクリーム色だったり、重かったり軽かったり、厚かったり薄かったり。いわゆる特殊紙(ファンシーペーパー)とは一味違った魅力をたくさん持っているのが本文用紙だと思います。
今回はそんな素敵な本文用紙を萌えの赴くままに書き連ねていきます。一部豆知識的なことを偉そうに披露していますが、紙に関して筆者はど素人なのでもし間違いがあったらそっとツッコんでやってください。
・上質紙
よく「上質90kg」等と表記されている紙です。ほとんどの同人誌印刷所で標準装備されている定番の本文用紙ですね。上質紙とコピー用紙との違いはこちらの記事がとても詳しくわかりやすかったので是非ご覧ください。
価格が安い(オプション代がかからない)、表面が平滑なので印刷再現度が高い、程よい白さで作品の邪魔をしない、裏透けしにくい、劣化しにくい等々、思いつくだけでも良いところばかりです。
厚さも非常に豊富です。同人誌に使うのは90kgが一般的ですが、サイズの大きい本では110kgなんてのも見かけますね。小さ目のコピー本なら70kgでもいいかも。(90kgは意外とかたい)
部数が多かったりページ数が多かったりすると重さがとんでもないことになってダン箱を持ち上げるときに腰が死にますが、それも「同人誌つくってるぜ!」感があって嫌いじゃないです。(でもB5サイズの分厚い本は軽い本文用紙でつくった方がいいと思う……読んでるとき手がつらい……)
あとやっぱりCopyBooker*2としては購入が非常に容易なのもポイント高いですね。文房具屋さんとかでも手に入ります。
・色上質
その名の通り色付きの上質紙なのですが、厳密には違います。わかりやすい解説ページをご紹介します。
新入社員シートくんとロール先輩の紙修行 ⑦ 色上質の「白」って上質紙じゃないの? | 華陽紙業株式会社
厚さ表記が独特で、中厚口や特厚口等と表記します。同人誌向けなら遊び紙は中厚口(70kg相当)、本文は厚口(90kg相当)、表紙は最厚口(135kg相当)か超厚口(180kg相当)、と覚えておくといいと思います。もちろん好みで選択しても◎。
魅力はなんといっても豊富な色数!例えば北越紀州製紙の色上質は33色も存在します。上質紙をベースにしているので、価格が安く印刷再現度も高い優秀な紙です。
本文用紙として使うなら薄めの色がいいかな~と思いがちですが、赤を本文に使っていた本が作品の雰囲気にばっちり合っていてかっこよかったので、色々試してみるのも楽しいかもしれません。
刷り色との組み合わせを考えるのも楽しいですね。色上質黒に金や銀で刷ると特別感がやばいです。(昔どこかの印刷所がセットでやってたような……)
個人的なオススメは白茶です。クラフトっぽく使えてとてもかわいいです。
・淡クリームキンマリ
読み方は「うす」クリームキンマリです。「たん」クリームキンマリや「あわ」クリームキンマリではないのでご注意ください。
これも印刷所での取り扱いが多い紙ですね。印刷所によっては「書籍用紙」と表記されていることもあります。(※すべての「書籍用紙」と表記されている紙がこの紙とは限りません)
うっすらとしたクリーム色の紙で、長時間見ても目が疲れにくいため、特に小説などの文字を中心とした本に採用されることが多いようです。
一般書籍(小説)に近づけたいときはこの紙を使うとぐっとそれっぽくなって良いです。漫画同人誌でもちょっと紙に色がついているだけで印象ががらっと変わるので、ぜひ使ってみてください。
ちなみにクリーム色じゃない白いキンマリもあります。(そっちがたぶんベース)
・ オペラクリームウルトラ
こちらもクリーム色の紙ですが、嵩高(軽くて分厚い)でやわらかい雰囲気です。ページ数が少なくてもこれを使えばそれなりのボリュームになるので薄い本的にはありがたい存在です。もふもふでかわいい。だいすき。
惜しむらくは取り扱いしてる印刷所が意外に少ない?ことですかね。通販で購入できます。私は紙名手配さんで購入しています。
嵩高紙なので同人誌の本文なら68kg(上質90kgよりちょっと厚い)で十分もふもふできると思います。80kg(上質110kgくらいの厚さ)だとだいぶ厚いですが、軽いのでそんなに気にならないかも。
ちなみにクリーム色じゃない白い(以下略)。
・クラフト紙
クラフト紙って白いやつも含まれるんだけど、ここではとりあえず一般的にイメージされるあの茶色いナチュラルな感じの紙のことをクラフト紙って呼びます。
どんなインクの色も合うし、使うだけでなんかおしゃれな雰囲気になるし、原稿の白さが誤魔化せるし(この理由でクラフト紙使う人いるよね?ね?)好きな本文用紙ランキングのかなり上位に食い込む紙です。中扉とか目次とか奥付のページだけこの紙にしてもいい感じ。
常々クラフト紙にスミ+白の二色刷りで本文を印刷したいと思っているのだけど、いまだに実現していません。おしゃれな漫画が描けるようになりたいですね。
ところでクラフト紙を本文に使うのって同人誌独特の文化な気がするんだけど実際どうなんだろう?
・特厚ホワイトコミック
むちゃくちゃ分厚いコミック紙です。A5本に使うのは厚すぎます。B5本ならしっくりくる感じ。とにかく分厚くしたいんだぜ!厚い紙がいいんだぜ!という方にオススメです。もちろんコミック紙なので同じ厚さの上質紙と比べると重さは断然こっちの方が軽いです。
これも紙名さんとbacksGazaiさん以外で売ってるの見たことないんだけど……オリジナルの用紙なのかな……?
・コミックマガジン
名前の通り漫画作品の本文に最適な嵩高紙です。本当にさりげなーくうっすらグレーがかってます。
これもかなり好きな紙です。本文に使うと「マンガ読んでるぜ!」という気分が高まってきます。トナーとの相性も抜群です。コミック紙ですがラフ感はそこまで強くないのですべすべ好きさんにもオススメ。
この名称で調べても全然情報がヒットしないんですが、正式名称?はなんなんでしょうか?情報求む。
・マガジンテキスト
ざらっとした個性的なコミック紙。きなりと桃の二色展開です。漫画雑誌のような雰囲気が出せます。色が絶妙でとても好きです。本文以外にも遊び紙やペーパーに使ってもかわいい。
薄くて詰まりやすいので印刷のときはお気をつけください。うちのプリンタも機嫌が悪いときは一枚ずつ印刷しないとがしがし詰まります。他所のコピー機では使わない方がいいかも……。
・タブロ
タブロイド判が名前の由来。その名の通り、新聞紙のような灰色でがさっとした雰囲気の紙です。厚めで裏透けしにくく、スミ刷りも色刷りもカラーも合います。
発売当初からずーっと言ってますが、今一番オススメの紙です。一目ぼれでした。個性的かつ作品を殺さない程度のさりげない色と風合い、持ったときのふわっと軽い感覚、それでいてどっしりとした安定感もある……はあ、素敵。
もっといろんなところで使われたらいいなあと思います。同人誌でも定番になってほしい。もふもふしたい。うーんかわいい。
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今回は実際に同人誌に使用したことのある紙に絞って語りましたが、まだ本には使ったことないけど好き!かわいい!使いたい!という紙もたくさんあります。まだまだ経験値不足です。
印刷されていない素の紙も好きなのですが、本文用紙はやっぱり本文を印刷してなんぼなので頑張って原稿を描いて印刷したいと思います。ん?順番が逆?本末転倒?今さらですよ!
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最後に宣伝というかおすそわけのご紹介です。おすすめの本文用紙(コピー本向け)6種類+αをセットにしたものをご用意しました。いきなり通販で大量に紙を買うのはハードルが高い、家のプリンターで印刷できるか試してみたい、そんな人はぜひご利用ください。